ホテルマン(ホテリエ)にとってお客様とのコミュニケーションは、「サービス」を提供するための基本といえます。お客様とお話しするときは話し方には特に気を配ります。 ホテルマンの話し方によって、ホテル自体の印象も変わりかねません。お客様が滞在中に心地よく過ごしていただくためには、ホテルマンとしてどういった話し方が必要なのでしょうか。ここでは、ホテルマンがお客様とお話しをする際に心がけるべきポイントをご紹介します。
「聞き取りきやすさ」を意識する
お客様とお話しをするときにまず心がけたいのが、聞き取りやすい発音で話すということです。いくら言葉遣いなどに気を付けても、話している内容をお客様が聞き取れなければ意味がありません。お腹からしっかり声を出して、ひと言ずつ丁寧に発音するよう意識をしながら話すようにしましょう。 また、聞き間違いをしやすい言葉は、聞き取りやすい言葉に変えるなどの工夫をするようにします。例えば「7時」を「しちじ」と発すると、「1時」と聞き間違えてしまうことがあります。このような場合は、「ななじ」と表現することで、その時間がきちんと伝わるようになります。電話で予約を承るときは特に、時間の発音などは特に気を付けるようにしましょう。
相手にとってわかりやすい言葉を選ぶ
国籍や老若男女問わず、さまざまな人々が利用するホテルでの接客は、そのとき話している相手にとってわかりやすい言葉を選ぶということが大切です。 基本的に、聞き取りづらいカタカナ言葉や難しい熟語はなるべく避けるようにします。ホテルの専門用語など、自分が普段使っていたとしてもお客様に伝わらない言葉は使わないように気を付けましょう。ただし、お客様の方がそのような言葉を使ってお話される場合には、同じ言葉で返して問題ありません。相手が使っている言葉を日本語に直したり、平たくした表現に言いかえてしまうと、逆に不快な印象を与えてしまうことがあります。
意外とやりがち!文章の途中で話を終わらせないこと
お客様とお話しをするときには、自分の考えを相手に察してもらおうとせずに、自分で最後までしっかりと話すよう意識しましょう。特にやりがちなのが「~ですが……」というように、話を途中で終わらせてしまうということです。例えば、お客様がAという担当者を訪ねたときに、Aが休憩などでその場にいなかったとします。そのとき「ただいまAは席を外しておりますが……」というように、Aがいないということを伝えるだけで、相手の反応を待つというのは不親切です。さらにお客様に不躾な印象を与えかねません。ホテルマンとして対応するのであれば「ご伝言を承りましょうか」と、自分がそのときにできる提案をする言葉などを付け加えるようにしましょう。 ホテルの顔ともいえるホテルマンは、その話し方ひとつがホテルのイメージに大きな影響を与えます。発音や言葉の選び方など、ホテルマンの話し方として意識するべき点は数多くありますが、すべてに共通するのが「お客様の立場になって話をする」ということです。基本的な敬語や話し方を身に付けるのはもちろん、ホテルマンとして「こういった場面ではどのように対応すればお客様に満足していただけるか」、「こちらのお客様にはどのような話し方をすれば伝わりやすいか」など、常にお客様のことを考えながら話すようにしましょう。