
昔から、女性の憧れの職業として、人気のキャビンアテンダント。外から見るととても華やかに見えるこの仕事ですが、その実情はどうなのでしょうか?この記事では、キャビンアテンダントになりたい人のために、その仕事内容や年収について、そして、実際にキャビンアテンダントとして働くために必要な資格やスキルについて解説いたします。
キャビンアテンダントになるには
キャビンアテンダントの採用には、新卒採用と既卒採用の2つのルートがあります。
応募には、専門学校卒業または短大卒業以上の学歴が必要とされており、
基本的には高卒での応募は難しいのが現状です。
ただし、一部の航空会社では高卒でも応募を受け付けている場合があります。
しかしその場合、採用枠が非常に限られているため、かなりの競争率となることを覚えておきましょう。
応募条件に特定の学部や学科の指定はありません。
また、実務研修や社会人経験が必須というわけでもないため、相応の学歴があれば応募可能です。
ただし、キャビンアテンダントという職業柄、語学力は非常に重要です。
そのため、大学進学を考えている方は外国語学部や国際系の学科を、
専門学校を目指す場合は語学と接客を同時に学べるエアライン系の学校を選ぶとよいでしょう。
キャビンアテンダントの仕事内容は?
キャビンアテンダントの仕事は、大きく分けて
① 機内サービス業務 と ② 保安要員としての業務 の2つがあります。
💠 機内サービス業務
これは、多くの方がイメージする「お客様への接客業務」です。
機内食やドリンクの提供、新聞・雑誌・ブランケット・イヤホンなど、
お客様のリクエストに応じてサービスを行います。
また、ゴミの回収やトイレの清掃などを通じて、機内を常に清潔に保つことも大切な役割です。
国際線では、免税品の機内販売や入国書類の配布も担当します。
💠 保安要員としての業務
キャビンアテンダントのもう一つの重要な役割が、お客様の安全を守ることです。
フライト前には、機体や非常用装備品に異常がないかを点検します。
搭乗後は、シートベルトの着用や手荷物の収納を確認し、
非常時の避難方法をお客様に案内します。
フライト中は常にお客様の様子に気を配り、体調の異変があれば応急処置を行います。
また、到着後にすぐ救命措置に移れるよう、常に準備を整えています。
さらに、もしもフライトが続行できない緊急事態が発生した場合は、
乗客の避難を先導し、海上着陸時には救命ボートの操作も任されます。
そのため、キャビンアテンダントは日ごろから避難訓練やパイロットとの合同訓練を徹底的に行っています。
✨ サービスと安全の両面で支えるプロフェッショナル
このように、キャビンアテンダントは単に「接客のプロ」ではなく、
お客様の命を預かる安全のプロフェッショナルでもあります。
華やかなイメージの裏には、日々の厳しい訓練と強い責任感があるのです。
キャビンアテンダントの平均年収は?
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(2022年度)」によると、
航空機客室乗務員の平均年齢は33.2歳、
平均月収は356,100円、年間賞与は223,700円でした。
これを年収に換算すると、約450万円となります。
コロナ禍で給料に多少影響がありましたが、現在はコロナ禍以前の水準に戻りつつあります。
航空会社の規模による給与差
ANA・JAL・スカイマークなど、従業員数1,000人以上の大手航空会社
→ 平均月収 386,700円、賞与 282,700円
スターフライヤー・AIR DO・IBEXエアラインズなど、
従業員数99〜999人規模の中堅航空会社
→ 平均月収 322,100円、賞与 158,200円
このように、会社の規模によって給与に一定の差が見られます。
大手航空会社の新卒初任給(2025年度)
ANA(全日本空輸株式会社)
初任給:214,319円~225,521円
→ 各種手当(家族・住宅・乗務・深夜・土日出勤など)あり
→ 昇給:年1回(4月)
→ 賞与:年3回(夏・冬・期末)
JAL(日本航空株式会社)
初任給:221,000円
→ 各種手当(乗務手当など)あり
→ 昇給:年1回(4月)
→ 賞与:年3回(夏・冬・期末)
→ その他:社宅・寮制度、体験搭乗制度、社会保険完備
✨ 新卒でも安定した待遇
初任給だけを見ると月22万円前後と控えめに感じるかもしれませんが、
各種手当・賞与・福利厚生を含めると、非常に安定した待遇です。
特に、大手航空会社ではキャリアを積むことで昇給や手当が増え、
長期的に見ても十分な収入が期待できます。

キャビンアテンダントに必要な資格やスキルは?
キャビンアテンダントは、機内で多くの業務を任される責任ある職種です。
そのためには、さまざまな資格やスキルが求められます。
💠 おもてなしのスキル
まず欠かせないのが、接客業としてのおもてなし力です。
丁寧な言葉遣いと礼儀作法で、お客様が気持ちよく旅を楽しめるようにサポートします。
お子様からご高齢の方まで、幅広い年代のお客様に柔軟に対応できる力が必要です。
💠 英語力・語学力
外国のお客様を対応する機会も多いため、高い英語力は必須です。
日系航空会社では一般的にTOEIC600点以上が応募の目安とされています。
また、さまざまな国籍のお客様が搭乗されるため、英語以外の第二外国語(中国語・韓国語・フランス語など)を身につけていると大きな強みになります。
💠 手話スキル
耳や言葉が不自由なお客様への対応も大切な業務の一つです。
各航空会社では筆談ボードや多言語コミュニケーションボードを用意していますが、
キャビンアテンダント自身が手話で直接コミュニケーションを取れることが理想的です。
実際、ANAでは手話技能検定4級以上の乗務員に「手話バッジ」が授与され、
JALでは手話講座が社内研修として設けられています。
💠 救急対応スキル
フライト中に急病人が出た場合には、応急処置が求められることもあります。
そのため、キャビンアテンダントは内定後の研修で、日本赤十字社の「救急法救急員」という国家資格を取得します。
お客様の安全を守るために欠かせないスキルの一つです。
このように、キャビンアテンダントには語学力だけでなく、おもてなし・手話・救急対応など多様なスキルが必要です。
華やかなイメージの裏で、多くの努力と専門性に支えられている職業といえるでしょう。
身長制限はあるの?
CA(客室乗務員)になるための身長の目安として、よく「160cm以上」と言われます。
ただし、これはあくまで一般的な目安であり、航空会社によって基準は異なります。実際には、身長が低めの方でも十分にCAとして活躍することが可能です。
身長が低いと不利だと言われる理由は、一部の業務で一定の高さが求められるためです。たとえば、離陸前に乗客の手荷物を頭上の収納棚に入れたり、押し込んで安全を確認したりする作業があります。
しかし、現在では中型機や小型機が主流となっており、機内の設備も改善されています。そのため、身長に関係なく多くの方が快適に働ける環境が整っています。
ただし、海外など一部の航空会社では、安全上の理由から身長制限を設けている場合もありますので、志望する航空会社の応募条件を事前に確認しておくと安心です。

